教科書 01
企画から刊行まで、実際に踏んでいる手順を省略せずに書きます。
1冊出す手順ではなく、何十冊も回し続けるための仕組みの話です。
AIを使えば本は書けます。問題はそこではありません。2冊目、5冊目、20冊目でも同じ速度で出せるかが本当の分かれ目です。
1冊目は誰でも気力で押し切れます。しかし売上の実データのとおり、収入は冊数の積み上げから来るので、1冊出して力尽きる作り方をしていると、永久に採算に乗りません。
ここでは、その観点で工程を整理します。
何を書くかを、思いつきではなく売れたデータから逆算して決めます。既刊のどの本が売れているか、どの検索語で入ってきているかを見て、その周辺を埋めていきます。
このとき既刊と同じ読者・同じ検索語を狙わないこと。理由は2冊目が1冊目を食べた話に書きました。
成果物 ― 章立てと、想定読者1行ここが最重要です。原稿はWordではなく、マークダウンのテキストで持ちます。理由は後で詳しく書きます。
AIとのやり取りもテキストのほうが速く、差分も見えます。図表は「ここに図1」とマーカーだけ置いて、後で機械的に差し替えます。
成果物 ― 通し原稿.mdマークダウンから入稿用のdocxをスクリプトで自動生成します。手作業でWordに流し込むのは1冊目だけにしてください。
この工程で、図マーカーを実画像に置換し、制作メモを除外し、巻末を差し込みます。原稿を直したら再実行するだけで本が作り直せる状態にします。
成果物 ― Kindle入稿版.docx電子版の表紙は1600×2560px程度の画像1枚です。紙も出すなら、本文を確定してページ数を出してからラップ表紙を作ります。順番を逆にすると背幅が合わず作り直しになります。
成果物 ― cover.jpgタイトル・説明文・キーワード・カテゴリ・価格を登録します。入力値は事前にテキストファイルにまとめておくと、画面で悩まずに済みます。改訂のたびに同じ値を使い回せます。
価格は思っている額と違うので、印税シミュレーターで手取りを確認してから決めてください。
成果物 ― 刊行、ASIN取得ここを飛ばす人が多いのですが、ここが次の本の売上を作ります。
既刊全部の巻末に新刊を追加する/サイトに書籍ページを作る/レビュー件数を増やす/必要なら紙も出す。詳しくは巻末設計と読者リスト化とペーパーバック化の手順へ。
成果物 ― 既刊全冊の更新なぜこれがそこまで効くのか。実際に起きたことで説明します。
本の巻末には「既刊一覧」を載せています。ということは、27冊目を出したら、既刊26冊すべての巻末を書き換える必要があります。
| 原稿の持ち方 | 27冊目を出したときの作業 |
|---|---|
| Wordで直接書いている | 26個のdocxを開いて手で直す。1冊5分でも2時間以上。しかも毎回 |
| マークダウン+ビルド | カタログに1行足してスクリプトを再実行。数分 |
2冊目までは差が出ません。10冊を超えたあたりで、前者は物理的に回らなくなります。実際、初期に作った数冊は原稿をテキストで持っておらず、いまも修正のたびに手作業が発生しています。
Wordの中に原稿が閉じ込められていると、このすべてが手作業になります。
全26冊で同じ構成にしてあります。同じ形にしておくと、スクリプトが全書籍で使い回せます。
よく聞かれるので書いておきます。26冊出した実感としては、こうなります。
| 工程 | 任せ方 |
|---|---|
| 調査・資料の整理 | ほぼ任せる。ただし数字と固有名詞は必ず一次資料で確認する |
| 構成・章立て | 案を出させて自分で選ぶ。ここを丸投げすると本の芯がぼやける |
| 本文の執筆 | 任せる。ただし「何を言う段落か」は自分で指示する |
| ファクトチェック | 任せない。もっともらしい誤りが混ざる。数字は自分で裏を取る |
| 図表の生成 | 任せる(スクリプトを書かせて画像を出力させる) |
| 組版・変換・一括処理 | 全部任せる。ここがいちばん効く |
| タイトル・価格の決定 | 任せない。データを見て自分で決める |
いきなり全部をそろえる必要はありません。1冊目は次の3つだけ守れば十分です。
3つ目は地味ですが効きます。あとから全冊に足すのは大変ですが、最初から場所があれば足すだけです。