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教科書 01

AI出版の全工程

企画から刊行まで、実際に踏んでいる手順を省略せずに書きます。
1冊出す手順ではなく、何十冊も回し続けるための仕組みの話です。

AIを使えば本は書けます。問題はそこではありません。2冊目、5冊目、20冊目でも同じ速度で出せるかが本当の分かれ目です。

1冊目は誰でも気力で押し切れます。しかし売上の実データのとおり、収入は冊数の積み上げから来るので、1冊出して力尽きる作り方をしていると、永久に採算に乗りません

ここでは、その観点で工程を整理します。

全体は6工程です

  1. 企画を決める

    何を書くかを、思いつきではなく売れたデータから逆算して決めます。既刊のどの本が売れているか、どの検索語で入ってきているかを見て、その周辺を埋めていきます。

    このとき既刊と同じ読者・同じ検索語を狙わないこと。理由は2冊目が1冊目を食べた話に書きました。

    成果物 ― 章立てと、想定読者1行
  2. 原稿を書く(マークダウンで)

    ここが最重要です。原稿はWordではなく、マークダウンのテキストで持ちます。理由は後で詳しく書きます。

    AIとのやり取りもテキストのほうが速く、差分も見えます。図表は「ここに図1」とマーカーだけ置いて、後で機械的に差し替えます。

    成果物 ― 通し原稿.md
  3. 原稿を本の形に変換する(ビルド)

    マークダウンから入稿用のdocxをスクリプトで自動生成します。手作業でWordに流し込むのは1冊目だけにしてください。

    この工程で、図マーカーを実画像に置換し、制作メモを除外し、巻末を差し込みます。原稿を直したら再実行するだけで本が作り直せる状態にします。

    成果物 ― Kindle入稿版.docx
  4. 表紙を作る

    電子版の表紙は1600×2560px程度の画像1枚です。紙も出すなら、本文を確定してページ数を出してからラップ表紙を作ります。順番を逆にすると背幅が合わず作り直しになります。

    成果物 ― cover.jpg
  5. 入稿する

    タイトル・説明文・キーワード・カテゴリ・価格を登録します。入力値は事前にテキストファイルにまとめておくと、画面で悩まずに済みます。改訂のたびに同じ値を使い回せます。

    価格は思っている額と違うので、印税シミュレーターで手取りを確認してから決めてください。

    成果物 ― 刊行、ASIN取得
  6. 刊行後にやる

    ここを飛ばす人が多いのですが、ここが次の本の売上を作ります。

    既刊全部の巻末に新刊を追加する/サイトに書籍ページを作る/レビュー件数を増やす/必要なら紙も出す。詳しくは巻末設計と読者リスト化ペーパーバック化の手順へ。

    成果物 ― 既刊全冊の更新

26冊を回せた理由は、たったひとつです

原稿を「書式」から切り離して、テキストで持っていること。
これだけです。ほかは全部この帰結です。

なぜこれがそこまで効くのか。実際に起きたことで説明します。

新刊を出すたびに、既刊26冊の巻末を直す必要がある

本の巻末には「既刊一覧」を載せています。ということは、27冊目を出したら、既刊26冊すべての巻末を書き換える必要があります。

原稿の持ち方27冊目を出したときの作業
Wordで直接書いている26個のdocxを開いて手で直す。1冊5分でも2時間以上。しかも毎回
マークダウン+ビルドカタログに1行足してスクリプトを再実行。数分

2冊目までは差が出ません。10冊を超えたあたりで、前者は物理的に回らなくなります。実際、初期に作った数冊は原稿をテキストで持っておらず、いまも修正のたびに手作業が発生しています。

同じことが、あらゆる場面で起きます

Wordの中に原稿が閉じ込められていると、このすべてが手作業になります。

フォルダはこう分けています

全26冊で同じ構成にしてあります。同じ形にしておくと、スクリプトが全書籍で使い回せます

NN_書籍名/ ├── 原稿/ ← マークダウン原稿。ここが正本 ├── スクリプト/ ← 原稿→docx のビルドスクリプト ├── 提出版/ ← KDPにアップするもの一式 │ ├── 本文docx │ ├── cover.jpg │ ├── KDP登録シート.md ← 入力値を全部書いておく │ ├── 商品説明文.md │ └── ペーパーバック/ ├── カバー/ ← 表紙の生成スクリプトと試作 └── 図解/ ← 図のPNGと生成スクリプト
「原稿/」と「提出版/」を分けるのが肝心です。 提出版は生成物なので、直接編集しません。直すのは必ず原稿のほう。 ここを曖昧にすると、どちらが最新か分からなくなり、 古い原稿から作った本を出してしまいます(一度やりました)。

AIに何を任せて、何を任せないか

よく聞かれるので書いておきます。26冊出した実感としては、こうなります。

工程任せ方
調査・資料の整理ほぼ任せる。ただし数字と固有名詞は必ず一次資料で確認する
構成・章立て案を出させて自分で選ぶ。ここを丸投げすると本の芯がぼやける
本文の執筆任せる。ただし「何を言う段落か」は自分で指示する
ファクトチェック任せない。もっともらしい誤りが混ざる。数字は自分で裏を取る
図表の生成任せる(スクリプトを書かせて画像を出力させる)
組版・変換・一括処理全部任せる。ここがいちばん効く
タイトル・価格の決定任せない。データを見て自分で決める
いちばんの誤解は「AIに本文を書かせるのがAI出版だ」という理解です。 実際に時間を溶かすのは本文ではなく、変換・組版・修正の反映・全書籍への波及のほうです。 本文執筆だけAIにして、あとを手作業でやっていると、冊数が増えた瞬間に止まります。

1冊目の人へ ―― 最小構成

いきなり全部をそろえる必要はありません。1冊目は次の3つだけ守れば十分です。

  1. 原稿はテキストファイルで書く。Wordに直接書かない
  2. 入力値を1枚のメモにまとめる。タイトル、説明文、キーワード、カテゴリ、価格。改訂のたびに使います
  3. 巻末に「既刊一覧」の場所を作っておく。いまは空でいい。2冊目を出したときに埋めます

3つ目は地味ですが効きます。あとから全冊に足すのは大変ですが、最初から場所があれば足すだけです。

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