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教科書 03

巻末設計と
読者リスト化

巻末は余ったページではありません。
本を読み終えた人が、次に何をするかを決める場所です。

なぜ巻末が重要なのか

理由は身も蓋もありません。Amazonは、読者の連絡先を著者に渡さないからです。

誰が買ったのか、何人読んだのか、どこの誰なのか、著者には一切分かりません。新刊を出しても、既刊の読者に知らせる手段がひとつもないのです。

読者は「Amazonから借りている」状態です。 借りたままにするか、自分の読者にするか。 その分かれ目が、本の最後の数ページにしかありません。

ここを空白のまま出している本が、驚くほど多い。もったいないという以前に、2冊目以降の売上が立たない構造になってしまいます。

巻末の並び順

26冊すべてで、この順番に統一しています。順番には理由があります。

  1. 終章本編の締め。ここで読者の満足度が最高になります
  2. レビューのお願い読み終えた直後が、いちばん好意的な瞬間です。ここを逃すと、もう頼めません
  3. 紙版のご案内読み放題で読んだ人に、紙という選択肢を示します。紙を出している本だけ入れます
  4. 付録用語集やチェックリストなど。手元に残る実用価値を最後に足します
  5. 著者プロフィール誰が書いたのか。SNSのアカウントもここに置きます
  6. 既刊一覧次に読む本。Amazonリンクと、読み放題の対象かどうかを添えます
  7. 読者特典いちばん深い一歩なので最後に。メール登録の入口です

なぜこの順番なのか

要求の重さを、軽い順に並べています

読者への要求重さ
星を付ける(レビュー)軽い。数秒で終わる
次の本を見に行く中くらい。お金がかかる
メールアドレスを渡す重い。継続的な関係を結ぶ

いきなり重い要求から始めると、読者は本を閉じます。価値を全部渡し終えてから、いちばん重いお願いをする。この順序を崩さないことです。

レビュー依頼を「はじめに」に置く本がありますが、逆効果です。 まだ何も受け取っていない相手に評価を求めることになります。 依頼は、渡し終えてから。

既刊一覧が、いちばん効きます

26冊すべての巻末に、既刊の一覧を載せています。これはつまり、26冊が互いに送客し合う網になっているということです。

読者が最初にどの本を手に取るかは選べません。しかし、どの本から入っても他の25冊が見える状態にはできます。売上の実データで、売れている本が特定の2〜3冊に偏りながらも、残りが薄く売れ続けているのはこの効果です。

ただし、これには代償があります

27冊目を出したら、既刊26冊の巻末を全部書き換える必要があります。 1冊5分でも2時間以上。しかも新刊を出すたびに毎回です。

手作業でやると、必ずどこかで力尽きます。実際には、既刊リストを1つのファイルで管理して、全書籍の巻末を一括生成しています。新刊を出したら、そのファイルに1行足して再実行するだけです。

この仕組みが成立するのは、原稿をテキストで持っているからです。詳しくはAI出版の全工程に書きました。巻末に既刊一覧を入れるなら、一括更新の仕組みとセットで考えてください。

読者リスト化 ―― Amazonの外に出す

ここからが本題です。メールアドレスをもらえれば、新刊を自分から知らせられます。

実際に使っている導線がこれです。

① 巻末に、QRコードとURL「読者特典」として、検証データやテンプレートを用意していることを1ページで案内します。紙の本ではQRが効きます
② 特典の紹介ページ自分のサイトに置きます。何がもらえるのかを具体的に書き、登録フォームを埋め込みます
③ 登録 ―― ここが唯一のゲートメール配信サービスのフォーム。登録完了画面にだけ、配布ページのURLを表示します
④ 登録者専用ページ(検索避け)ここで実際のファイルを配ります。検索エンジンには載せません
⑤ 新刊が出たら、一斉配信ここまで来て、はじめて自分から読者に連絡できる状態になります

設計で気をつけている3点

1. 抜け道を作らない

最初、特典ページに「登録済みの方はこちら」というリンクを置いていました。これでは登録しなくても入れます。撤去して、登録完了画面にしかURLが出ない形にしました。

2. 使う配信サービスで「登録後に見せられるもの」が違う

自動返信メールを送れるサービスと、送れないサービスがあります。私が使っているものは自動返信がなく、登録完了メッセージ(100字まで)だけが読者に見せられる唯一の場所でした。

先に確認してください。 「登録した直後に、読者に何を見せられるか」がサービスによって違います。 ここが分からないまま巻末にURLを印刷すると、本は直せません

3. 特典ページのURLは、絶対に変えない

紙の本に印刷したQRコードは、あとから直せません。URLは一度決めたら固定し、中身を入れ替える形で運用します。実際、特典の構成を2回作り直していますが、URLは変えていないのでQRはそのまま生きています。

特典は「棚」にすると、配信ネタが自動で増える

最初は「特典=1個のファイル」で作っていました。これをライブラリ形式(棚)に変えたのが効きました。

1個だけ棚にする
読者から見て1回もらって終わりまた増えるかもと思える
著者から見て配信するネタがない追加するたびに告知メールが打てる
これがいちばん大きい変化でした。 メールリストを作っても、送る用事がなければ何も起きません。 新刊は年に数回しか出ませんが、特典の追加は好きなときにできます。 棚にしておくと、配信する理由が自動的に生まれます。

やらないと決めたこと

一度、サイトの全記事に特典への誘導を入れる案を検討して、やめました。

理由は単純で、押し売りに見えるからです。読みに来ただけの人に、どのページでも登録を迫るのは品がない。

いま導線を置いているのは、データに関心を持った人がたどり着く場所だけです。書籍の紹介ページ、検証データの記事、特典ページそのもの。その3か所以外には置きません。

登録者数は増えにくくなりますが、集まるのは本当に関心のある人だけになります。リストは人数ではなく、届く率で決まります。

まとめ ―― 明日やること

  1. いま出している本の巻末に、既刊一覧の場所を作る。1冊しかなくても、場所だけ用意する
  2. レビュー依頼を、終章の直後に置く。読了直後が最も好意的です
  3. 読者特典を1つ用意する。本の内容に関係するデータ、テンプレート、チェックリストなど
  4. URLを決めて固定する。紙に印刷したら変えられません
  5. 特典は棚にする。1個で終わらせず、増やせる形にしておく
  6. 既刊が増えたときの一括更新を、最初から考えておく全工程

巻末は、本の中でいちばん地味なページです。それでも、2冊目以降の売上はほとんどここから生まれます。