教科書 04
「本を書いて」と入力して待つ。それはAI出版ではありません。
26冊で実際に回している工程を、順番に開きます。
「AIで本を書く」と聞くと、多くの人は「本を書いて」と打ち込んで、出てきた文章をそのまま出す姿を想像します。実際にやってみると分かりますが、それでできるのは誰が作っても同じ本です。売れませんし、何よりその人が出す意味がありません。
役割分担はこうなっています。
何を書くか。どういう本にするか。この章立てでいいか。この文章でいいか。判断だけを引き受けます。
資料を集め、構造化し、文章にする。手を動かす作業を全部引き受けてもらいます。
この分担を頭に置いて、以下を読んでください。6つの工程すべてに、自分の判断が挟まっています。
最初にやるのは執筆ではなく、調査です。そして6工程でいちばん大事なのがここです。
自分が知っていることを全部AIに話し、整理させ、足りない視点を挙げさせ、また調べる。この往復を納得がいくまで繰り返します。
材料が揃ったら、AIと会議をします。議題は3つです。
会議は面倒に見えて、実は時短です。設計図なしで書き始めた本は、途中で必ず迷子になり、結局書き直しになります。
タイトル案が出たら、タイトル検索性チェッカーで検索語が入っているかを確認してください。ここで決めたタイトルが、そのまま売上を左右します。
AIの中には、膨大な本の知識が入っています。ということは、うまい書き手の型も入っているということです。使わない手はありません。
やり方は簡単で、まずAIにこう聞きます。
候補が挙がってきたら、自分の本に合いそうな書き手を2人ほど選び、「この人とこの人を複合したような文体で書いてください」と指定します。人物の熱を描くのがうまい書き手と、データを読ませるのがうまい書き手を混ぜる、といった具合です。
案を出すのはAIに任せます。会議で決めた設計図を渡せば、それなりの章立てが返ってきます。ただし採用するかどうかは、必ず自分で判断します。
見るポイントは読者の気持ちの流れです。この順番で読んで、知りたいことが知りたい順に出てくるか。途中で飽きないか。
正しい内容でも、順番を間違えると伝わりません。AIの案をたたき台に、入れ替え、削り、足す。目次が固まって、ようやく執筆に入ります。
執筆は絶対に一気にやらせません。一章ずつです。
一章書き上がったら自分で読み、気になった所に指示を出します。「ここは説明が長い」「この例えは分かりにくい」「結論を先に言って」。直させて、納得したら次の章へ。
書き上がったら、仕上げが2つあります。
ひとつ目は、AIを編集者に見立てて全体を見直させること。ここまで一緒に書いてきた相棒に、今度は赤ペンを持たせます。「あなたは大手出版社の敏腕編集者です。この原稿を厳しくレビューしてください」。
構成の弱さ、説明の重複、読者が置いていかれる箇所。書いた本人には見えなかった粗を、別の目で洗い出させます。役割を切り替えるのがコツです。
ふたつ目は、AI特有の癖を人間の目で取ること。これはAI自身では気づけません。
最後は必ず人間の目で通して読み、見つけた癖を直させます。ここまでやって、原稿は完成です。
気づいた方もいると思いますが、この工程でAIが勝手にやっていることは、ひとつもありません。全部の工程に自分の判断が挟まっています。
書く手間をAIが引き受けてくれるから、決めることだけやればいい。だから会社員をしながらでも冊数を出せます。
工程①の調査です。早く書き始めたいので、みんなここを飛ばします。
しかし調査を飛ばした原稿は、AIが自分の一般知識だけで書くことになります。すると、すでにネット上にある情報の言い換えにしかなりません。読者は「これ、どこかで読んだ」と感じ、レビューが伸びず、次の本にもつながりません。
逆に、自分だけが持っている材料——実務経験、実際に取ったデータ、失敗の記録——を渡せば、AIはそれを読ませる形に組み立ててくれます。AIは材料を増やす道具ではなく、材料を形にする道具です。