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実録 06

英語版を5冊出して
分かったこと

電子と紙で5冊、海外のKindleストアに出しました。
その3日後、4冊を改題しています。語感で選んだ題は、1冊も検索に掛かりませんでした。

日本語で書いた本を英語にして出す。市場は何十倍にもなるのだから、やらない理由がない。そう考えて5冊を英訳し、電子とペーパーバックの両方で刊行しました。

刊行から3日で、4冊のタイトルを全部つけ直すことになりました。

何が間違っていたか

最初のタイトルは、日本語の本と同じ感覚でつけていました。日本の実用書は、内容を説明するより雰囲気で惹く題が多い。その感覚をそのまま英語に持ち込んだのです。

結果、こうなりました。

The Man Who Never Explained
↓ 改題
Takashi Kotegawa (B.N.F.)

読者はこの投資家の名前で検索します。人物名を先頭に出しました。

Five Students, Four Failures
↓ 改題
CIS: Japan's Greatest Day Trader

通り名を先頭に。誰の話かが1秒で分かる形にしました。

How Winners Lose
↓ 改題
The Stop-Loss Discipline

扱っている技術の名前(stop-loss)を入れました。

Twenty-Six Indicators, Nine Survivors
↓ 改題
26 Technical Indicators, Tested on 10 Years of Japanese Stock Data

綴りの「Twenty-Six」を数字の「26」に。検索窓に打たれるのは数字です。何を、どれだけの期間で検証したかも明記しました。

5冊のうち1冊だけは変えていません。Six Traders, Five Laws は、複数の投資家をまとめて紹介する本で、シリーズの入口にあたる本だったからです。この本は特定の検索語で探されるものではないので、語感の良さを残しました。

そこから引き出した原則

タイトルは、読者が検索窓に打ち込む言葉から始める。
うまい題を考えるのではなく、探されている言葉を先頭に置く

これは日本語の本でも同じですが、英語圏では効き方が段違いです。理由は3つあります。

1. 無名の著者には、指名検索がない

日本では既刊の読者や紹介から流入がありますが、英語圏では完全にゼロからの出発です。レビューも0件、著者名で探す人も0人。となると、たどり着く経路は検索しかありません

そこで語感重視の題を出すのは、誰も打ち込まない言葉で待っているのと同じです。

2. 英語圏の実用書は、説明的なタイトルが主流

書店で平積みされる日本の本と違い、英語圏の個人出版は検索結果の一覧で勝負が決まります。だからタイトルが長く、具体的で、中身をそのまま書いたものが多い。詩的な題は、すでに名前のある著者のものです。

「英語だからかっこよく」ではなく、「英語だからこそ説明的に」でした。

3. 数字は、綴らずに数字で書く

小さいですが効きます。Twenty-Six ではなく 26。読者はキーボードで「26」と打ちます。同じ理由で、期間や件数も数字で入れておくと拾われやすくなります。

紙の本も、改題できました

ここは通説と違ったので、はっきり書いておきます。

「紙の本はタイトルを変更できない。改題するなら出版を取り消して、新しいISBNで出し直すしかない」――そう説明している情報が多く、私もそう理解していました。実際、日本語版で一度その前提で計画を立てています。

実際に管理画面で試したところ、同じASINのまま改題できました。 出版停止も、新しいISBNの取得も不要でした。2冊で確認しています。
いきなり出版停止にせず、まず画面で試してください。

ただし、大きな落とし穴があります

タイトル欄を直しても、印刷される表紙は旧題のままです。

管理画面の表示は新しい題に変わるので、終わった気になります。しかし読者の手元に届く本の表紙には、古い題が印刷されたままです。

「コンテンツの編集」から、表紙PDFと本文PDFの両方を必ず差し替えてください。本文にも題名は入っています。差し替えると背幅の再確認も必要になるので、背幅・表紙サイズ計算機で確認しながら作り直すことになります。

思わぬ副産物 ―― 日本語版の間違いが9件見つかった

英訳の作業には、予想していなかった効用がありました。

翻訳は1文ずつ意味を確定させないと進みません。日本語だと「なんとなく通る」文が、英語にしようとした瞬間に「これは事実として何を言っているのか」と問われます。その過程で、日本語版の不整合が9件見つかりました。

見つかった不整合
「四人の道」という章なのに、実際には五人を扱っていた
「六人の天才」と書いているのに九人(3箇所)
第1章と第2章で、同じ人物の学年が1年ずれていた
ホテル名の誤り、参照した章番号の誤り
本文中の数値が、自分の検証データと矛盾していた
販売休止した本の案内が、巻末に残っていた

最後から2つ目が特にまずいものでした。データを扱う本で、本文の記述が自分の出したデータと合っていない。日本語で何度も読み返しても気づかず、英訳ではじめて見つかっています。

校正の手法として使えます。 全訳しなくても、数字と固有名詞が出てくる段落だけ英語にしてみると、 曖昧なまま通していた箇所が浮き上がります。翻訳は、最も厳しい読み直しです。

正直な現状 ―― まだ売れていません

ここまで書いておいて何ですが、英語版はまだ収益になっていません

期間英語版の有料販売無料DL
2026年8月1日〜17日0冊数冊

刊行が8月10〜11日、改題が13日なので、まだ数日しか経っていません。レビューは0件、ランキングもありません。英語圏でゼロから見つけてもらうには、日本語版とは比較にならない時間がかかります。

それでも、やってよかったと考えています。理由は3つです。

最後の点が重要です。日本語で続編を出すと既刊と食い合いますが、言語が違えば読者が完全に別なので、増やしても割れません。「本を増やす」の中で、いちばん安全な増やし方です。

これから出す人へ、実務的な注意

項目やること
判型A5のまま出せます。英語圏の標準に合わせて変える必要はありません
表紙の寸法インチ基準で作る。ミリで組むと審査に落ちます(計算機
背文字の向き英語圏は上から下。日本語版と逆になります
著者名姓の欄は空欄にして、名の欄に表記名を入れる形が扱いやすい
シリーズKDPのシリーズ機能で全冊を紐付ける。巻末の相互案内も忘れずに
カテゴリ全冊を同じ棚に置かない。散らして入口を増やす

まとめ

結果が出るのはこれからです。数字が動いたら、また正直に出します。